手動フェイルオーバー環境をインストールする
手動フェイルオーバー環境をインストールすることによって、稼働サーバーのバックアップを作成できます。稼働サーバーが使用不可になった場合、稼働サーバーが再び使用可能になるまで、処理はフェイルオーバーサーバーに移動されます。
手動フェイルオーバー環境のインストールは複雑な手順です。構成プロセスを開始する前に、システム管理者に相談してください。手動フェイルオーバーは主にエンタープライズ環境で使用されるため、ご使用の設定には不適切な場合があります。
この手順では、ファイル共有に NFS を使用することを前提としています。システム要件およびワークフローに応じて、SAN または NAS などの異なる設定が必要となる場合があります。システム要件を確認して、会社に最適なテクノロジーを使用してください。次の手順をガイドとして使用し、システムを設定してください。
この手順を開始する前に、ファイルサーバー、稼働サーバー、およびフェイルオーバーサーバー間で通信が可能となるように、ファイアウォールの必要なポートを開きます。また、必要に応じて、次の手順が完了していることを確認してください。
DVD または ISO イメージを使用してインストールする場合、稼働サーバー、フェイルオーバーサーバー、およびファイルサーバーからインストールメディアにアクセスできることを確認します。
手動フェイルオーバー環境をインストールするには、次の手順に従います。
- これらの各システムグループの GID を確認します。システムグループについて詳しくは、 システムグループおよびユーザーを作成するを参照してください。稼働システムとフェイルオーバーシステムで、同じシステムグループ名と GID 値を使用する必要があります。デフォルト値を以下に記載します。異なる値を使用する場合は、今後の参照のために値をここに記録しておいてください。
- これらの各ユーザー名の UID 値を確認します。稼働システムとフェイルオーバーシステムで、同じシステムユーザー名と UID を使用する必要があります。システムユーザーについて詳しくはシステムグループおよびユーザーを作成するを参照してください。値を以下に記載します。
- これらの各サーバーのホスト名を確認します。
サーバー 説明 稼働サーバー 1 次サーバーがインストールされているシステムと、通常の操作中に RICOH ProcessDirector が稼働するシステム。 フェイルオーバーサーバー バックアップとして RICOH ProcessDirector が稼働し、通常のサーバーが使用不可な場合に使用されるシステム。 ファイルサーバー ネットワーク管理者により設定され、インストールされたコード、構成ファイル、データファイルなどのファイルとデータベースをホストするシステム。SAN または NAS を使用する場合があります。 注意: どのシステムがアクティブであるかに応じて、DNS を設定して単一のホスト名の別名を使用し、稼働サーバーまたはフェイルオーバーサーバーのいずれかにリダイレクトできます。この構成の場合、ユーザーは単一の URL からシステムにアクセスできます。 - 管理者として、ファイルサーバーにログインします。
- コマンドプロンプトを使用して、RICOH ProcessDirectorのファイルシステムを
/aiw
として作成します。ファイルシステムは 30 GB 以上である必要があり、すべての RICOH ProcessDirector ファイルシステムに使用されます。 - mount /aiwと入力して、aiwファイルシステム をマウントします。
- 推奨サイズを使用して、次のファイルシステムを作成します。
- コマンド行を開いてインストールメディアがあるディレクトリーに移動し、scripts/failover-create-shares.shを検索します。カスタム共有パスがあり、NFS 以外のテクノロジーを使用している場合は、failover-create-shares.sh を /tmp にコピーします。システム構成に合わせて、スクリプトを編集します。
- スクリプトを実行するには、failover-create-shares.sh と入力して Enter を押します。
- スクリプトによりファイルサーバーにこれらのディレクトリーが作成されたことを確認します。
- NFS を使用している場合は、共有を編集して、クライアントユーザーと root ユーザーの両方に許可されているホストフィールドに稼働サーバーとフェイルオーバーサーバーを追加します。
- smit nfs または smitty nfsを入力してNFSにこれら共有を追加します。
- NFS を再起動します。showmount -e コマンドと cat /etc/exports コマンドを入力して、ファイルサーバーの設定を表示し、内容が正しいことを確認します。追加された共有が正しいことを確認し、それぞれの共有のフラグと権限を確認します。
- 稼働サーバーに root ユーザーとしてログインして、共有ディレクトリーをマウントします。
- コマンド行を開いてインストールメディアがあるディレクトリーに移動します。scripts/failover-create-mountpoints.sh と入力して、 Enter を押します。
- /usr/local/binディレクトリが存在しない場合は、 mkdir -p /usr/local/binと入力し、 Enterキーを押します。
- インストールメディアから scripts/mountDrives.sh を /usr/local/bin にコピーします。
- テキストエディターを使用して、 mountDrives.sh を編集します。ファイルサーバー値をご使用のファイルサーバー名に必ず変更します。
- ファイルシステムの共有とマウントのために NFS を使用していない場合は、スクリプトを変更してマウントするための適切なコマンドを実行します。
- スクリプトを実行可能にするには、chmod +x /usr/local/bin/mountDrives.sh と入力して Enter を押します。
- スクリプトを実行するには、/usr/local/bin/mountDrives.sh と入力して Enter を押します。
- 共有ディレクトリーがマウントされているかどうかを確認するには、dfと入力して Enterキーを押します。
- 稼働サーバーにユーザーを作成するには、以下を実行します。
- scripts/failover-user-configurationをインストールメディア から稼働サーバーの /tmpにコピーします。
- テキストエディタを使用して failover-user-configurationを開きます。システムユーザーおよびシステムグループ値を、手順 のシステムユーザーおよびシステムグループ値と比較します。デフォルト値を使用している場合は、これらの値を変更する必要はありません。printqの値はシステムグループ 9 に既に存在している場合があります。 /tmp/failover-user-configurationで、printqをシステムグループ値の9になるように編集します。
- スクリプトを実行するには、インストールメディアがあるディレクトリーに移動して、scripts/failover-create-users.sh /tmp/failover-user-configurationと入力し、 Enterを押します。
- ユーザー名ごとに id username を入力して、名前が作成されたことを確認します。たとえば、id aiw1とした場合、出力は次のようになります。 uid=3133(aiw1) gid=1038(ipserv) groups=10(wheel),1038(ipserv),111(staff1)
- フェイルオーバーサーバーに root ユーザーとしてログインして、共有ディレクトリーをマウントします。
- コマンド行を開いてインストールメディアがあるディレクトリーに移動します。scripts/failover-create-mountpoints.sh と入力して、 Enter を押します。
- /usr/local/binディレクトリが存在しない場合は、 mkdir -p /usr/local/binと入力し、 Enterキーを押します。
- インストールメディアから scripts/mountDrives.sh を /usr/local/bin にコピーします。
- テキストエディターを使用して、 mountDrives.sh を編集します。ファイルサーバー値をご使用のファイルサーバー名に必ず変更します。NFS を使用していない場合は、スクリプトを更新して共有テクノロジーを使用します。
- ファイルシステムの共有とマウントのために NFS を使用していない場合は、スクリプトを変更してマウントするための適切なコマンドを実行します。
- スクリプトを実行可能にするには、chmod +x /usr/local/bin/mountDrives.sh と入力して Enter を押します。
- スクリプトを実行するには、/usr/local/bin/mountDrives.sh と入力して Enter を押します。
- 共有ディレクトリーがマウントされているかどうかを確認するには、dfと入力して Enterキーを押します。
- フェイルオーバーサーバーにユーザーを作成するには、以下を実行します。
- scripts/failover-user-configurationをインストールメディア からフェイルオーバーサーバーの /tmpにコピーします。
- テキストエディタを使用して failover-user-configurationを開きます。システムユーザーおよびシステムグループ値を、手順 のシステムユーザーおよびシステムグループ値と比較します。デフォルト値を使用している場合は、これらの値を変更する必要はありません。printqの値はシステムグループ 9 に既に存在している場合があります。 /tmp/failover-user-configurationで、printqをシステムグループ値の9になるように編集します。
- スクリプトを実行するには、インストールメディアがあるディレクトリーに移動して、scripts/failover-create-users.sh /tmp/failover-user-configurationと入力し、 Enterを押します。
- ユーザー名ごとに id username を入力して、名前が作成されたことを確認します。たとえば、id aiw1とした場合、出力は次のようになります。 uid=3133(aiw1) gid=1038(ipserv) groups=10(wheel),1038(ipserv),111(staff1)
- 稼働サーバーに RICOH ProcessDirector をインストールします。基本製品をインストールするを参照してください。システムユーザーとシステムグループを要求されたら、スクリプトで使用したものと同じ値を使用して、システムユーザーを選択します (デフォルトは aiw1)。
- 初めてログインする に進みます。 インストール済み環境を検査するの手順は実行しないでください。このセクションに戻って、手動フェイルオーバー環境のインストールを完了します。
- 稼働サーバーで RICOH ProcessDirector を完全にシャットダウンします。
- 稼働サーバーにシステムユーザーとしてログインします (デフォルトは aiw1)。
- コマンド行を開き、次のコマンドを入力します。 stopaiw
- su - rootと入力し、 Enterキーを押してください。プロンプトが表示されたら、root ユーザーのパスワードを入力して Enterを押します。
- /opt/infoprint/ippd/db/bin/db2fmcu -dと入力します。
- ps -ef | grep db2と入力して、実行中のすべての db2プロセスを表示します。それぞれの db2 プロセスを終了するには、次のように入力します。killの後に、
grep
コマンドの結果にリストされた各プロセスIDを入力します。例えば、結果は次のようになります。dasusr1 14729 1 0 Aug24 ? 00:00:01 /home/dasusr1/das/ adm/db2dasrrm root 18266 1 0 Aug24 ? 00:15:08 /opt/infoprint/ippd/db/ bin/db2fmcd dasusr1 18342 1 0 Aug24 ? 00:00:23 /opt/infoprint/ippd/db/das/ bin/db2fmd -i dasusr1 -m / opt/infoprint/ippd/db/das/ lib/libdb2dasgcf.so.1 root 21049 1 0 Sep01 ? 00:00:00 db2wdog 0 [aiwinst] aiwinst 21051 21049 0 Sep01 ? 01:13:01 db2sysc 0 root 21059 21049 0 Sep01 ? 00:00:00 db2ckpwd 0 aiwinst 21061 21049 0 Sep01 ? 00:00:00 db2vend (PD Vendor Process - 1) 0
これらの結果では、プロセス ID は 2 列目にリストされています。リストの最初のプロセスを終了するには、kill 14729 と入力して Enterキー を押します。
- すべてのpsfapidプロセスを表示するために ps -ef | grep psfapidと入力します。それぞれの psfapid プロセスを終了するには、次のように入力します。killの後に、
grep
コマンドの結果にリストされた各プロセスIDを入力します。 - すべてのaiw1プロセスを表示するために ps -ef | grep aiw1と入力します。それぞれの aiw1プロセスを終了するには、次のように入力します。killの後に、
grep
コマンドの結果にリストされた各プロセスIDを入力します。
- フェイルオーバーサーバーで、次を実行します。
- root ユーザーとしてログインします。
- コマンド行を開いてインストールメディアがあるディレクトリーに移動し、scripts/failover-setup-rpd-node.shと入力して Enterを押し、スクリプトを実行します。このスクリプトは /etc/servicesにエントリーを追加して、必要に応じて PSF をインストールし、フェイルオーバーサーバーで rpm データベースを更新します。
- /opt/infoprint/ippd/bin/changeHostname.plproduction_server_hostnameと入力します。production_server_hostname は稼働サーバー名です。
- フェイルオーバーサーバーでのインストールを確認するには、製品にもう一度ログインします。今回は、Web ブラウザーでフェイルオーバーサーバーのホスト名を使用します。http://フェイルオーバーホスト名:15080/pdログインできた場合は、インストールが成功したことになります。
- 処理を稼働サーバーに再度切り替えるには、以下を行います。
- フェイルオーバーサーバーにシステムユーザーとしてログインします (デフォルトは aiw1)。
- コマンドプロンプトを開き、次のコマンドを入力します。 stopaiw
- 稼働サーバーにシステムユーザーとしてログインします (デフォルトは aiw1)。
- 稼働サーバーでは、/opt/infoprint/ippd/bin/changeHostname.plfailover_server_hostnameと入力します。failover_server_hostnameはフェイルオーバーサーバー名です。現在、フェイルオーバーサーバーは 1 次サーバーです。
- コマンド行を開き、startaiw と入力します。
- 稼働サーバーとフェイルオーバーサーバーのライセンスキーをインストールします。2 つのライセンスキー (サーバー 1 台につき 1 つ) を購入する必要があります。
- 稼働サーバーで、稼働サーバーのライセンスキーをインストールします。ライセンスキーをダウンロードおよびインストールするを参照してください。
- コマンド行を開き、stopaiw と入力します。
- フェイルオーバーサーバーに処理を切り替えます。これには、フェイルオーバーサーバーで/opt/infoprint/ippd/bin/changeHostname.plproduction_server_hostnameと入力します。production_server_hostnameは稼働サーバー名です。注意: フェイルオーバーサーバーにシステムユーザーとしてログインする必要があります (デフォルトは aiw1)。
- コマンド行を開き、startaiw と入力します。
- フェイルオーバーサーバーで、フェイルオーバーサーバーのライセンスキーをインストールします。ライセンスキーをダウンロードおよびインストールするを参照してください。フェイルオーバーサーバーで RICOH ProcessDirectorユーザーインターフェースを開いた場合、 ライセンスキーの違反が検出されましたというメッセージが表示される場合があります。ソフトウェアサポートにお問い合わせください。ライセンスキーのインストール後は、このメッセージは表示されません。
- コマンド行を開き、stopaiw と入力します。
- 稼働サーバーに処理を切り替えます。これには、稼働サーバーで/opt/infoprint/ippd/bin/changeHostname.plfailover_server_hostnameと入力します。failover_server_hostnameはフェイルオーバーサーバー名です。注意: 稼働サーバーにシステムユーザーとしてログインする必要があります (デフォルトは aiw1)。
- コマンド行を開き、startaiw と入力します。