プリファレンスファイルに基づいて取引明細書を送付する使用シナリオ

このシナリオでは、ある会社が PDF の印刷処理を変更して、複数のチャネルを通じて顧客に取引明細書を送付するとします。顧客は、取引明細書を印刷またはメールで受け取るか、この会社の Web サイトで顧客アカウントに表示するかを選択します。この情報は、取引明細書のデータの一部ではないので、顧客のデータベースから、ヘッダーを含むテキストファイルにエクスポートします。このテキストファイルをプリファレンスファイルとして使用します。このファイル内の値によって、取引明細書を顧客に送付する方法が決まります。

プリファレンスファイルには、顧客番号、取引明細書の送付方法、メールアドレス、およびマーケティングの設定が含まれます。顧客は、この会社とその他のベンダーから特典情報を受け取るか、この会社からのみ特典情報を受け取るか、特典情報を受け取らないかを選択します。

この会社では、処理を変更する前は、用意されているEnhancePDFDocumentsワークフローを使用して、すべての取引明細書を印刷していました。 IdentifyPDFDocumentsステップの PDF 制御ファイルの識別プロパティーの値は、/aiw/aiw1/control_files/EnhancePDFdocs.ctl です。 BuildPDFFromDocumentsステップの ビルド PDF 制御ファイル 1プロパティーの値も、/aiw/aiw1/control_files/EnhancePDFdocs.ctl です。

また、子ワークフロープロパティーを EnhancePDFDocumentsに設定して、用意されている HotFolderPDF入力装置を使用しています。

RICOH ProcessDirector Plug-in for Adobe Acrobat を使用して、各ジョブの実動 PDF ファイルにある個々の文書として取引明細書を識別します。各取引明細書の中のデータには、顧客番号が含まれます。

新しい処理をサポートするために、管理者は次の操作を行います。

  • カスタム文書プロパティーを設定します。
  • プロパティーマッピングオブジェクトを作成します。
  • プリファレンスファイルを RICOH ProcessDirector から使用可能にします。
  • EnhancePDFDocumentsワークフローに ApplyPreferencesステップを追加します。
  • 変更したEnhancePDFDocumentsワークフローに、取引明細書を顧客にメールで送信するステップと、取引明細書を会社の Web サイトに表示するステップを追加します。

カスタム文書プロパティーの設定

カスタム文書プロパティーを設定するには、管理者が次の操作を行います。

  • 次の 2 つのカスタム文書プロパティー (ユーザーインターフェース名を指定するキャプションを含む) を docCustomDefinitions.xml ファイルで定義します。
    • Doc.Custom.AccountNumber (キャプションは 顧客番号)
    • Doc.Custom.PrefOffers (キャプションは 特典の設定)
  • docCustomユーティリティを実行し、カスタム文書プロパティー機能を更新します。
  • RICOH ProcessDirector の更新した文書プロパティーを RICOH ProcessDirector Plug-in for Adobe Acrobat に読み込みます。
  • プラグインの文書プロパティーの定義機能を使用して、文書内の顧客番号のデータを 顧客番号文書プロパティー (データベース名 Doc.Custom.AccountNumber) にマップします。

    処理中は、ワークフローのIdentifyPDFDocumentsステップが、 顧客番号文書プロパティーのデータを、ジョブの PDF ファイル内の各文書から抽出します。

      注意:
    • 文書プロパティーの定義機能を使用して、 特典の設定文書プロパティー (データベース名 Doc.Custom.PrefOffers) にデータをマップすることはできません。文書にこのデータはありません。処理中は、ワークフローの ApplyPreferencesステップが、プリファレンスファイルを使用してプロパティー値を設定します。

  • プラグインの制御ファイルの保存機能を使用して、文書プロパティーの定義を EnhancePDFdocs.ctl 制御ファイルに保存します。
  • 制御ファイルをRICOH ProcessDirectorサーバーに送信します。

プロパティーマッピングオブジェクトの作成

管理者は、次の値で、CustomerPreferencesプロパティーマッピングオブジェクトを作成します。

  • 全般セクションの ファイルタイプの値は CSVです。
  • プロパティーマッピングセクションの値は以下のとおりです。
    見出し 文書プロパティー 使用法
    Account Number 顧客番号 文書の識別
    出力タイプ 出力タイプ プロパティーの更新
    メールアドレス メールアドレス プロパティーの更新
    Offers 特典の設定 プロパティーの更新

RICOH ProcessDirector からプリファレンスファイルを使用する設定

プリファレンスファイルを RICOH ProcessDirector で使用可能にするには、管理者が次の操作を行います。

  • プリファレンスファイル用に /aiw/aiw1/preferences ディレクトリーを作成します。
  • プリファレンスファイルを提供する部門に、名前を EnhancePDFprefs.csv にし、/aiw/aiw1/preferences ディレクトリーに置くように依頼します。
  • プリファレンスファイルが RICOH ProcessDirector で処理できる状態になっていることを確認します。
    • ファイルは、コンマ区切り (CSV) 形式またはタブ区切り形式になっている必要があります。

      データの列には、プロパティーマッピングオブジェクトで指定されている次の見出しが必要です。アカウント番号出力タイプEメールアドレス、およびオファー

    次の例に、ファイルの抜粋を示します。

    Account Number,Output Type,Email Address,Offers
    2000144372,Print,,All
    2001144678,Print,,None
    2001154898,Email,m.lopez@isp1.com,Company
    2004187456,Print,,Company
    2007192007,Web,j.gomez@isp2.com,All
    2010197554,Email,s.jones@isp3.com,Company
    2010223114,Email,d.wilson@isp4.com,None
    2012234096,Web,a.larson@isp5.com,None
    2231547625,Print,,All

ワークフローの変更

会社が取引明細書の印刷に使用しているEnhancePDFDocumentsワークフローを変更するには、管理者が次の操作を行います。

  • IdentifyPDFDocumentsステップの後に ApplyPreferencesステップを追加し、ステップのプロパティーに値を設定します。
    • プリファレンスファイルの値は /aiw/aiw1/preferences/EnhancePDFprefs.csv です。
    • プロパティーマッピングの値は CustomerPreferencesです。
  • ApplyPreferencesステップの後に GroupDocumentsステップを追加し、 第1グループプロパティーの値を 出力タイプに設定します。

    GroupDocumentsステップは、 出力タイプ文書プロパティーの値に基づいて、3 つの文書グループを作成します。次の値は、EnhancePDFprefs.csvファイルから取得されます。印刷Eメール、およびWeb

  • ワークフローでGroupDocumentsステップの後に CreateJobsFromDocumentsステップを追加し、 子ワークフロープロパティーの値を、現在のワークフローの名前に設定します。
  • CreateJobsFromDocumentsステップを BuildPDFFromDocumentsステップから切り離します。
  • SetJobPropsFromTextFileステップと CountPagesステップの間のコネクターに条件を追加します。コネクターの規則は次のとおりです。 Job number Unlike *.*

    この規則によって、親ジョブと子ジョブを異なる分岐で処理できます。名前に . (ピリオド) がない親ジョブはこの分岐を使用します。

  • SetDocPropsFromConditionsステップを追加し、このステップに SetJobPropsFromTextFileステップを接続します。 SetDocPropsFromConditionsステップは、子ジョブ用に新しい分岐を開始します。コネクターに規則はありません。ジョブ番号にピリオドがある子ジョブはこの分岐をたどります。

    SetDocPropsFromConditionsステップは、プリファレンスファイルから取得した 出力タイプ文書プロパティーの値に基づいて Custom 1ジョブプロパティー (データベース名 Job.Info.Attr1) を設定するプロパティー条件ファイルを指定します。プロパティー条件ファイルの内容は次のとおりです。

    "Doc.Pref.Output","Job.Info.Attr1"
    "=Email","Email"
    "=Print","Print"
    "=Web","Web"

  • SetDocPropsFromConditionsステップを BuildPDFFromDocumentsステップに接続します。
  • ワークフローに子ジョブ用の分岐を作成し、BuildPDFFromDocumentsステップと CountPagesステップを結ぶ既存のコネクターに条件を追加して取引明細書を印刷します。コネクターの規則は次のとおりです。 Custom 1 = Print
  • EmailDocumentsステップを追加し、 BuildPDFFromDocumentsステップを接続します。 EmailDocumentsステップは、各取引明細書を PDF ファイルとして顧客のメールアドレスに送信します。

    顧客のメールアドレスは、プリファレンスファイルに含まれます。

  • ワークフローに子ジョブ用の分岐を作成し、BuildPDFFromDocumentsステップと EmailDocumentsステップを結ぶコネクターに条件を追加して取引明細書をメールで送信します。コネクターの規則は次のとおりです。 Custom 1 = Email
  • RunExternalProgramステップを追加し、 BuildPDFFromDocumentsステップを接続します。 RunExternalProgramステップは、取引明細書を外部プログラムに送信し、このプログラムが明細書を会社の Web サイトに公開します。
  • ワークフローに子ジョブ用の分岐を作成し、BuildPDFFromDocumentsステップと RunExternalProgramステップを結ぶコネクターに条件を追加して取引明細書を会社の Web サイトに公開します。コネクターの規則は次のとおりです。 Custom 1 = Web
  • PrintJobsステップと RetainCompletedJobsステップの間に WaitForRelatedJobsステップを追加します。
  • CreateJobsFromDocumentsEmailDocuments、および RunExternalProgramの各ステップを WaitForRelatedJobsステップに接続します。

ワークフローを通じたジョブの処理

ワークフローを設定し、テストしたら、管理者は、ワークフローを実動環境に置きます。

用意されているHotFolderPDF入力装置は、取引明細書を含む PDF ジョブを受け取り、 EnhancePDFDocumentsワークフローに実行依頼します。

ジョブは、親ジョブのワークフロー分岐を通過し、ApplyPreferencesステップに移動します。RICOH ProcessDirectorは、EnhancePDFprefs.csvファイルの情報を読み取り、ジョブの文書プロパティーファイルに3列のデータを作成します。これらの列には、次のプロパティーの値が含まれます。

  • Doc.Pref.Output
  • Doc.Email.Address
  • Doc.Custom.PrefOffers

ジョブはGroupDocumentsステップに進みます。このステップは、 出力タイププロパティーの値に基づいて、各文書を 3 つのグループのいずれかに配置します。

ジョブはCreateJobsFromDocumentsステップに進みます。このステップは、各文書グループに子ジョブを作成し、子ジョブを同じワークフローに実行依頼します。

子ジョブは、ワークフローで子ジョブ用の分岐をたどります。

子ジョブがSetDocPropsFromConditionsステップに到達したら、RICOH ProcessDirectorCustom 1ジョブプロパティーの値を設定します。

  • 出力タイププロパティーが 印刷に設定されている子ジョブについては、 Custom 1ジョブプロパティーが Print に設定されます。
  • 出力タイププロパティーが メールに設定されている子ジョブについては、 Custom 1ジョブプロパティーが Email に設定されます。
  • 出力タイププロパティーが Webに設定されている子ジョブについては、 Custom 1ジョブプロパティーが Web に設定されます。

RICOH ProcessDirector は、 Custom 1ジョブプロパティーの値に基づいて、子ジョブを印刷、メール、または Web の分岐に送ります。

文書を印刷する子ジョブは、PrintJobsステップの後に WaitForRelatedJobsステップに進みます。

文書をメールで送信する子ジョブは、EmailDocumentsステップに進みます。RICOH ProcessDirector は、 メールアドレスプロパティーに指定されている値を使用して、各取引明細書を PDF ファイルとしてメールで顧客に送信します。

子ジョブは、その後WaitForRelatedJobsステップに進みます。

Web 文書の子ジョブは、RunExternalProgramステップに進みます。このステップは、取引明細書を外部プログラムに送信し、このプログラムが明細書を会社の Web サイトに公開します。

子ジョブは、その後WaitForRelatedJobsステップに進みます。

すべての子ジョブがWaitForRelatedJobsステップに到達したら、親ジョブと子ジョブの保存期間が始まります。

    注意:
  • この使用シナリオでは、特典の設定プロパティーの値を、文書プロパティーファイルに追加する方法を示しましたが、これらの値をワークフローで使用しませんでした。会社では、このプロパティーを使用して、顧客の取引明細書に特典に関するイメージを追加するかどうかを決めることができます。