EnhancePDF

EnhancePDF ステップテンプレートに基づくステップは、PDF ファイルの操作または評価を行います。ファイルを操作または評価するアクションには、ページの回転、ページの削除、スタンプ注釈の追加、ファイルが PDF の仕様に適合しているかどうかの検証などがあります。ステップは、PDF ジョブごとに PDF ファイルと JDF ジョブチケットの両方を入力として受信します。

ワークフローの後続のステップは、このステップによって生成された PDF および JDF ファイルを使用します。

ジョブプロパティーデフォルト

  • アクションリスト:

使用上の注意

  • アクションリストテキスト領域で、各アクション、そのパラメーター、およびパラメーター値をそれぞれ別の行に入力します。

    この例には、RemovePages、AddStamps、RotatePagesの3つのアクションがあります。

    RemovePages -pages 3-4,9,12-n

    AddStamps -stampsCSV /aiw/aiw1/control_files/actions/stamp1.csv

    RotatePages -rotate 270 -pagetype landscape

    この例では、CheckPDFのアクションを使用します。

    CheckPDF -outputResultsFile /aiw/aiw1/checkPDF/checkPDFresults.txt

  • このステップを実行すると、jobID.print.pdf ファイルと jobID.overrides.jdf ファイルが変更されます。

基本製品でのアクション

AddStamps
機能
このアクションは、ページ番号またはメディア名に基づいて、スタンプ注釈を PDF ファイルの選択されたページに追加します。RICOH ProcessDirector ビューアーまたは別の PDF ビューアーでは、これらのスタンプ注釈を表示できます。スタンプ注釈は印刷されません。

Adobe Acrobat などのプログラムでは、スタンプ注釈や印刷設定を変更できません。

パラメーター
-stampsCSV
この必須パラメーターは、CSV ファイルの完全パスまたはシンボル名を指定します。
CSV ファイル (aiw/aiw1/control_files/actions/stamp1.csv ) の情報を使用して、スタンプ注釈を PDF ファイル内の選択されたページに追加するには、次のように入力します。

AddStamps -stampsCSV /aiw/aiw1/control_files/actions/stamp1.csv

使用上の注意
  • この CSV ファイルには、見出し行と 1 行以上の本文があり、スタンプ注釈の値が入力されています。

    見出し行の内容は、次のようになります。

    Page,Media,Image,Author,Content,Subject,XPosition,YPosition,Name

    CSV ファイルでは、本文の行ごとに 9 個の値がコンマで区切られて保存されます。

    ページ
    スタンプ注釈を取得するページ。
      注意:
    • PageまたはMediaの値は必須です。ページメディアの両方の値を指定すると、RICOH ProcessDirector はどちらかの値に一致したページにスタンプ注釈を追加します。
    メディア
    RICOH ProcessDirector メディアの名前。RICOH ProcessDirector は、スタンプ注釈をこのメディア名が指定されたすべてのページに追加します。
    画像
    必須スタンプ注釈が保存されたイメージファイルの完全ディレクトリーパスとファイル名。 RICOH ProcessDirector は JPEG および PNG イメージをサポートします。
    作成者
    オプションスタンプ注釈に添付されるコメントの作成者。
    コンテンツ
    オプションスタンプ注釈に添付されるコメントのテキスト。
    題名
    オプションスタンプ注釈の題名。
    X 座標
    必須ページの左上隅からスタンプ注釈の左上隅までの水平の距離をポイントで指定します。
    Y 座標
    必須ページの左上隅からスタンプ注釈の左上隅までの垂直の距離をポイントで指定します。
    名前
    オプションスタンプ注釈の内部名。この名前は、スタンプ注釈または Adobe Acrobat では表示されません。

  • この CSV ファイルは 3 つのスタンプ注釈を PDF ファイルに追加します。

    Page,Media,Image,Author,Content,Subject,XPosition,YPosition,Name
    3,,/aiw/aiw1/stamps/Parts_Pg_3.png,RICOH ProcessDirector,Content Page 3,Subject Page 3,72,72,Name Page 3
    ,A4 Color,/aiw/aiw1/stamps/Parts_Pg_2.png,RICOH ProcessDirector,Content A4 Color,Subject A4 Color,72,72,Name A4 Color
    4,A4 Plain,/aiw/aiw1/stamps/Parts_Pg_1.png,RICOH ProcessDirector,Content A4 Plain,Subject A4 Plain,144,144,Name A4 Plain

    本文の最初の行は、PDF ファイルの 3 ページにイメージ「Parts_Pg_3.png」を追加します。作成者はRICOH ProcessDirectorです。内容はContent Page 3です。題名は「題名 3 ページ」です。イメージの左上隅は、ページの左上隅から 72 ポイント右、72 ポイント下です。名前は名前 3 ページです。

    本文の2行目は、RICOH ProcessDirectorA4 Colorメディアを指定するPDFファイルの全ページにイメージParts_Pg_2.pngを追加します。

    本文の3行目は、4ページ目およびRICOH ProcessDirectorA4 Plainメディアを指定するPDFファイルの全ページにイメージParts_Pg_1.pngを追加します。

  • 複数のスタンプ注釈がページの同じ位置に指定されている場合、RICOH ProcessDirector はこれらをすべて追加します。
  • ディレクトリーパスとファイル名の位置にシンボル式を使用できます。

    例えば、AddStamps アクションのために異なる CSV ファイルを必要とする入力ファイルに対して、EnhancePDFステップがあるワークフローを使用します。CSV ファイルの値を、入力ファイル名に CSV 拡張子を付けた名前に設定するには、${Job.InputFile}.csvを使用します。

    AddStamps -stampsCSV ${Job.InputFile}.csv

CheckOrientation
機能
このアクションは、EnhancePDFステップで使用し、PDFファイルの最初のページを読み取り、文書を縦向きまたは横向きに印刷するかどうかを決定する値を検索します。このアクションは、Ricoh TotalFlowプリンターでも使用され、プリンターに送信されるJDFの正しい向きの値を設定します。
パラメーター
-RPDproperty
このパラメーターは、EnhancePDFステップのアクションリストで使用され、PDFファイルの最初のページにある向きの値で更新するジョブプロパティーを指定します。Job.PDFを指定します。ジョブプロパティーノートブックの PDF向きプロパティーの値を表示する向き。このパラメーターは、プリンタープロパティーノートブックの アクションリストに指定しないでください。
-ControlUnitJDF
このパラメータは、Ricoh TotalFlowプリンターアクションリストで使用され、 PDF向きジョブプロパティーの値に基づいて正しいJDFを作成します。TotalFlowを指定します。
PDF向きジョブプロパティーをPDFファイルの最初のページで指定した値に設定するには、ワークフローのEnhancePDFステップの アクションリストに次のように入力します。

CheckOrientation -RPDproperty Job.PDF.Orientation

Ricoh TotalFlowプリンターの適切なJDFを作成しジョブの向きを PDF向きジョブプロパティーで指定した向きに回転させるには、Ricoh TotalFlowプリンターアクションリストに次のように入力します。

CheckOrientation -ControlUnitJDF TotalFlow

使用上の注意
  • PDF向きジョブプロパティーの値は、 アクションリストプロパティーで指定するCheckOrientationアクションがあるRicoh TotalFlowプリンターが使用し、正しいJDFを作成して正しい向きでジョブを印刷します。
CheckPDF
機能
このアクションは、PDF ファイルのコンテンツが PDF 仕様に適合しているかどうかをチェックします。RICOH ProcessDirector では、PDF 仕様に適合していないコンテンツがあっても、多くの PDF ファイルを表示および印刷できます。ただし、このようなコンテンツでは、印刷時にパフォーマンスの問題が生じる可能性があります。
パラメーター
-outputResultsFile
必須出力結果ファイルの完全パスまたはシンボル名を指定します。 このファイルは、TXT形式のログファイルです。出力結果ファイルには、チェックの結果に関するメッセージが保存されています。アクションは、PDF 仕様に適合するファイルを含めて、すべての PDF ファイルを対象として、全般的な情報を含むメッセージを出力結果ファイルに書き込みます。アクションは、PDF 仕様に適合しないコンテンツを見つけると、エラーメッセージを出力結果ファイルに書き込みます。可能な場合、メッセージではエラーがあったページの件数が報告されます。

進行状況を報告するために、アクションは以下のように 100 ページをチェックした後、ジョブログにメッセージを書き込みます。例:

Checked 100 pages.
Checked 200 pages.
Checked 300 pages.

-RPDproperty
オプションRICOH ProcessDirector ジョブプロパティーのデータベース名を指定します。Job.PDFCheckResult プロパティーの使用をお勧めします。別のプロパティーを指定する場合は、データタイプが文字列であることを確認してください。

CheckPDF アクションは、PDF ファイルをチェックした後、ジョブプロパティー値を設定します。

  • コンテンツが PDF 仕様に適合している場合、アクションは値を Pass に設定します。
  • コンテンツが PDF 仕様に適合していない場合、アクションは値を Fail に設定します。
  • コンテンツが暗号化されている場合、アクションは値を Security に設定します。

ジョブプロパティーの値に応じて、さまざまな方法でジョブを処理できます。例:

  • 値がPassである場合、PDFファイルを印刷するワークフローの分岐にジョブを直接送信できます。
  • 値がFailである場合、標準に従っていないコンテンツを削除してファイルを最適化するステップがある分岐にジョブを送信できます。

    アクションが最初のエラーを検出したら、すぐに特殊な処理にジョブを送信する場合、-fastFail パラメーターを指定します。

  • 値が Security である場合、暗号化ファイルを処理する分岐にジョブを送信できます。例えば、分岐内のステップは、同一ファイルの暗号化されていないバージョンを要求するメールを送信できます。

ジョブプロパティーノートブックでは、[拡張 PDF]タブでJob.PDFCheckResultプロパティーの値を表示できます。

-pages
オプションPDF ファイルでチェックする個々のページを指定します。
  • ページ範囲を指定する場合は、ハイフンを使用して最初のページと最後のページを区切ります。
  • 個別のページを指定する場合は、コンマで区切ります。
  • コロンの後に数字(n)を使用して、ページ範囲内のnページごとに変更を加えます。例えば、:3を使用して、範囲内の3ページごとに変更します。
  • 最後のページを指定する場合は、n を使用します。

このパラメーターを指定しない場合、アクションは PDF ファイル内の全ページをチェックします。大きいファイルの全ページをチェックする場合、EnhancePDFステップの処理に時間がかかることがあります。大きいファイルを高速で処理するには、例えば、1 ~ 10 など、個々のページを指定します。

-fastFail
オプション最初のエラーを検出すると PDF ファイルのチェックを停止するアクションかを指定します。
値:
TRUE
アクションは、最初のエラーを検出すると PDF ファイルのチェックを停止します。
FALSE
アクションは、PDF ファイル内の全ページを処理します。アクションは、最初のエラーを検出してもファイルのチェックを停止しません。
以下の CheckPDF アクションは、1 ページ、5 ~ 10 ページ、15 ページからPDF ファイルの最後までの全ページをチェックします。

CheckPDF -outputResultsFile /aiw/aiw1/checkPDF/checkPDFresults.txt -RPDproperty Job.PDFCheckResult -pages 1,5-10,15-n

以下の CheckPDF アクションは、ジョブ内の偶数ページをすべてチェックします。

CheckPDF -outputResultsFile /aiw/aiw1/checkPDF/checkPDFresults.txt -RPDproperty Job.PDFCheckResult -pages 2-n:2

以下の CheckPDF アクションは、最初のエラーを検出すると PDF ファイルのチェックを停止します。

CheckPDF -outputResultsFile /aiw/aiw1/checkPDF/checkPDFresults.txt -RPDproperty Job.PDFCheckResult -fastFail true

これらの3つのアクションはすべて、PDFファイルの内容に関するメッセージを /aiw/aiw1/checkPDF/checkPDFresults.txt ファイルに投稿します。このアクションは、Job.PDFCheckResult ジョブプロパティーの値を PassFail、または Security に設定します。

RemovePages
機能
このアクションは、PDF ファイル内の選択したページを削除します。
パラメーター
-pages
必須PDF ファイル内の個々のページを指定します。
  • ページ範囲を指定する場合は、ハイフンを使用して最初のページと最後のページを区切ります。
  • 個別のページを指定する場合は、コンマで区切ります。
  • コロンの後に数字(n)を使用して、ページ範囲内のnページごとに変更を加えます。例えば、:3を使用して、範囲内の3ページごとに変更します。
  • 最後のページを指定する場合は、n を使用します。
3、4、9 ページ、および 12 ページから PDF ファイルの最後までの全ページを削除するには、次のように入力します。

RemovePages -pages 3-4,9,12-n

奇数ページをすべて削除するには、次のように入力します。

RemovePages -pages 1-n:2

使用上の注意
  • アクションは、変更された PDF ファイルと一致するように、JDF ファイル内のメディア情報を調整します。

    例えば、JDF ファイルは 7 ~ 8 ページに対して青いメディアを指定します。アクションは、PDF ファイルから 3 ~ 4 ページを削除し、JDF ファイルを調整して 5 ~ 6 ページに対して青いメディアを指定します。

  • PDF Document Support 機能を使用している場合、このアクションを実行する EnhancePDFステップをワークフロー内で IdentifyPDFDocumentsステップの前に配置します。
RotatePages
機能
このアクションは、90 度、180 度、または 270 度でジョブ内のページを回転します。ジョブ内の縦長ページ、横長ページ、全ページのどれを回転するかを指定できます。

RICOH ProcessDirector はページを回転した状態で PDF ファイルを印刷します。

パラメーター
-rotate
必須ページに適用される回転量を指定します。
値:
first
RICOH ProcessDirector は、指定されたページタイプの全ページを、PDF ファイル内の最初のページと一致させます。
  • 最初のページが縦長であり、ページタイプがallまたはlandscapeである場合、RICOH ProcessDirector は横長のすべてのページを最初のページと一致するように回転します。
  • 最初のページが横長であり、ページタイプがallまたはportraitである場合、RICOH ProcessDirector は縦長のすべてのページを最初のページと一致するように回転します。
-rotate パラメーターを first に設定する場合、-pagetype パラメーターを all に設定することをお勧めします。
90
RICOH ProcessDirector は、指定されたページタイプの全ページを 90 度時計回りに回転します。
180
RICOH ProcessDirector は、指定されたページタイプの全ページを 180 度回転します。
270
RICOH ProcessDirector は、指定されたページタイプの全ページを 270 度時計回りに回転します。
-pagetype
必須全横長ページ、全縦長ページ、その両方のどれを回転するかを指定します。
値:
all
RICOH ProcessDirector は PDF ファイル内のすべてのページを回転します。
landscape
RICOH ProcessDirector は PDF ファイル内のすべての横長ページを回転します。
portrait
RICOH ProcessDirector は PDF ファイル内のすべての縦長ページを回転します。
PDF ファイルの最初のページは縦長です。最初のページに合わせて PDF ファイル内のすべての横長ページを回転するには、次のように入力します。

RotatePages -rotate first -pagetype all

PDF ファイル内のすべての縦長ページを 90 度時計回りに回転するには、次のように入力します。

RotatePages -rotate 90 -pagetype portrait

使用上の注意
  • このアクションは、ジョブチケットではなく、PDF ファイル内のページを回転します。
  • このアクションは、ページとコンテンツをまとめて回転します。これはページと別にコンテンツを回転することはありません。
  • RotatePages アクションの出力を表示するには、PDF ファイルを印刷します。PDF ビューアーが最適な表示のためにページを回転する場合、印刷したページの回転は表示されたページと異なることがあります。
  • 縦長と横長のページが混在しているジョブを修正している場合、特にページが両面である場合は、用紙のどちら側がバインドされるかを考えてください。